改正介護保険法

2005年6月22日、改正介護保険法が成立し、一部が2005年10月から施行、2006年4月からは大幅に制度が変わります。
改正介護保険法の最大の狙いは介護給付費用の抑制で、今改正しなければ10年後には介護給付費用が約2倍になるとの試算があります。
介護保険給付費は予想以上のペースで増えていますが、現在の要介護者の約半数が要支援や要介護1の比較的軽度の要介護度の人です。
そのため、今回の改正では要介護度がこれ以上進まないための「介護予防」に重点がおかれました。
また、在宅で介護を受けている人と施設入居者とのバランスをとるため、施設入居者は光熱費や食費の負担が増えます。この施設入居者の自己負担増は他の改正より早く、2005年10月から始まっています。

●介護予防
デイサービスに、筋力トレーニングや栄養改善指導、口腔ケアなどのオプションサービスを組み合わせて受けられるようにします。
また、訪問介護の場合もこれまでのようにヘルパーが料理や選択を全て行うのではなく、一緒に料理をしたり買物に行くなど、自ら体を動かして家事を行うのを援助するような形の介護になります。
これらの「新予防給付」の対象となるのは要支援1、要支援2と判定された人。
これまでの要支援の人すべてと、要介護1のうち比較的軽い人が要支援1、2になる見通しです。
また、要介護認定の結果「自立」と判断された人に対しては介護保険サービスではなく地域支援事業による介護予防がスタートします。

●自己負担増
施設入居者のホテルコスト(居住費)や食費はこれまで介護保険で給付されていましたが、これが給付の対象から外れ、全額自己負担となります。これは在宅サービス利用者との公平を図る狙いや、生活費として支給される年金との重複受給となることを防ぐためです。
自己負担金額は月3万円程度増えます。ショートステイやデイサービスの食費も自己負担となります。

●地域密着型サービスを新設
一箇所の施設でいろいろな種類の介護が受けられる「小規模多機能型居宅介護」が始まります。
通所で入浴やレクリエーションなどのサービスが受けられるほか、宿泊や滞在も同じ施設で可能、自宅で訪問介護を受けることもできます。サービス拠点は地域単位で設け、そこに登録するような形でその施設から多用なサービスを受けます。
また、在宅介護を支援する意味で、夜間対応型訪問介護も始まります。

●末期がん患者を対象に
従来、第二号被保険者の場合、15の特定の病気による場合のみが介護保険支給の対象となっており、その中に癌は含まれていませんでした。今回の改正で、40歳以上の末期がん患者も介護保険給付が受けられるようになります。

●福祉用具の制限
従来1割自己負担で福祉用具の購入やレンタルができる制度があり、これは要介護度に関係なく利用することができました。
そのため、必要度の高くない人に「あると便利だから」と業者が勧めるようなケースがあり、介護給付費が膨らむ上に、福祉用具に頼りすぎて却って体が衰えてしまったりという弊害がありました。
4月からは要支援1、2、要介護1の人は福祉用具利用の対象外となり、介護保険利用による福祉用具の購入はできなくなります。

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介護保険制度

40歳以上の国民が加入する社会保険で、原則65歳以上で介護が必要な状態になったときに、自己負担1割でサービスが受けられる制度です。
保険者(運営主体)は市区町村で、被保険者は65歳以上の第一号被保険者と40歳から64際までの第二号被保険者に分かれます。このうち第二号被保険者がサービスを利用できるケースは限定的で、老化が原因とされる病気(特定疾病として指定されています)で要介護状態や要支援状態になった場合に限られています。
保険料は市区町村によって異なり、第二号被保険者は医療保険料と一緒に給与から天引きされます。
第一号被保険者は年金からの天引きまたは個別納付の形で保険料を支払います。

介護サービスを受けるには要介護認定(従来は6段階・平成18年4月より7段階)によりどの程度の介護が必要かが判断され、介護の必要度によって要支援1、2、要介護1~5までの各段階が判定されます。
要介護度によって、利用できるサービスや費用が異なってきます。

サービスの内容はヘルパーや看護婦が訪問して介護や看護、リハビリ、入浴などを訪問介護、日帰りで介護を受けるデイサービスや短期入所サービスであるショートステイ、施設入所サービスの特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設、介護用具の販売、貸し出しなどがあります。

要介護認定を受けるときには市町村の窓口で申請をして審査を受けます。要介護の認定がなされると、ケアプランが作成され、どんなサービスを組み合わせるかを決定します。その後は利用者は1割負担で介護サービスを受けることができます。

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離婚時の年金分割制度

2007年度からスタートする制度で、離婚時に夫の厚生年金部分を最大半額まで妻に受給権を移すしくみです。
2004年、2005年は離婚件数が減少していますが、実は離婚を考えている妻が2007年の来るのを待っているという指摘もあります。
なお、離婚時分割制度には2007年4月スタート、2008年4月スタートと2種類の制度があります。

●2007年度スタートの制度
夫婦が離婚をするとき、互いの報酬比例部分を話し合いによって最大2分の1まで分割できるしくみです。
つまり専業主婦世帯のみならず共働き世帯の場合にも適用でき、過去の婚姻期間に二人の支払った厚生年金保険料に該当する部分の合計を分割することができます。
分割をするかどうか、分割する割合などは、夫婦の話し合いまたは裁判所の決定によります。
この制度のポイントは、2007年4月以前の期間についても遡って適用できるという点です。
そのため、現在離婚を狙っている妻の場合には、2007年4月が目標時期となります。
ただ、「話し合いにより分割比率を決める」と言う条件がありますから、必ずしも2分の1をとれるかどうかはわかりません。

●2008年度にスタートする制度
妻が専業主婦である場合のみ適用されます。
この制度の場合には、話し合いによる分割ではなく、強制的に夫の報酬比例部分を2分割しますので、交渉をしない分、妻側にとっては有利です。
ただし、対象となる期間に過去の婚姻期間は算入されず、2008年4月以降の第3号被保険者期間のみが対象となります。
つまりすでに婚姻中の夫婦が2008年4月以降に離婚する場合には、
・2008年4月以降の第三号被保険者期間については自動的に2分割
・それ以前の夫婦期間(共働き時代も含む)については話し合って決める
という形になります。

【参考書籍】

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公的年金の免除制度

第1号被保険者で年金保険料の支払いが困難な人のために、保険料の免除制度が設けられています。
免除制度には、2006年3月現在、全額免除、半額免除がありますが、2006年7月からは、免除の段階が細分化され、3/4額免除、1/4額免除も導入されます。
免除の要件は、障害年金受給者や生活保護受給者は届出により法定免除となります。
それ以外の人は申請により、収入や所得を考慮のうえ、決定がなされます。
将来の受給年金額への反映は、全額免除の場合1/3、半額免除の場合2/3で計算します。

この他学生や若年者で収入が少ない人用に学生納付特例制度、若年者納付猶予制度があり、保険料の支払を10年間猶予してもらう制度があります。

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公的年金

20~60歳の国民全員が加入する国民年金と、会社員・公務員が加入する厚生年金保険や共済年金を指します。
年金保険料を一定期間納めると、60歳以降(生年月日によって段階的に65歳まで引き上げていく)報酬比例部分(老齢厚生年金)の支給が開始され、さらに65歳からは老齢基礎年金(国民年金に該当する部分)が支給されます。
さらに、支給開始年齢までに死亡または重度の障害を負った場合には、遺族年金、障害年金の支給が受けられます。
この点で、公的年金は民間の生命保険に似たしくみを持っていると言えます。

●国民年金の被保険者区分
国民年金の被保険者区分は職業によって3つに分類されます。
20歳から60歳の全国民はいずれかの区分に入ります。

①第一号被保険者
自営業者、自由業者、学生、無職者など、被用者とその配偶者以外の人です。
②第二号被保険者
会社員と公務員(国家公務員、地方公務員、私立学校教師など)です。
③第三号被保険者
第二号被保険者の被扶養配偶者です。

●各被保険者区分が加入する年金
上の被保険者区分は全国民が加入する国民年金の被保険者区分です。
このうち、第二号被保険者には「二階建て部分」と言われる年金があり、その分将来の受給も手厚いものになります。
「二階建て部分」とは具体的に、会社員ならば厚生年金、公務員ならば共済年金です。
第二号被保険者の年金保険料は給与天引きで支払う形になっています。
通常給与明細には「厚生年金保険料」などと書かれていますが、この中に国民年金の分も含まれています。
なお、「厚生年金基金」として別途天引きになっている場合がありますが、これは公的年金ではなく、企業が独自に用意している企業年金で、年金の「3階」にあたる部分です。
つまり、一般の会社員は国民年金(基礎年金)と厚生年金には基本的に加入しており、さらに会社によっては企業年金にも加入している場合があります。

これに対して第一号被保険者と第三号被保険者の加入する公的年金は国民年金(基礎年金)のみです。(この他第一号被保険者の場合は任意で加入する国民年金基金があります)

●年金保険料と受給できる年金

第二号被保険者の保険料は年収に保険料率を掛けた額で、収入により金額が異なってきます。
平成18年3月現在の保険料率は14.288%で、これを労使折半で納めます。
将来は老齢基礎年金に加え老齢厚生年金を受給します。死亡、障害の際には遺族厚生年金、遺族基礎年金、障害厚生年金、障害基礎年金を受給します。

第一号被保険者は、収入に関わらず一人当たり月額1万3860円(平成18年4月から)を負担します。受給できる年金は老齢基礎年金(障害基礎年金、遺族基礎年金)です。
第三号被保険者の保険料は自己負担はなく、第二号被保険者全体の負担する財源から負担されます。よくある勘違いに、配偶者が第三号被保険者の分を負担しているという考え方がありますが、これは誤りです。第二号被保険者の保険負担料は収入に保険料率をかけて算出され、配偶者の有無は考慮されません。第三号被保険者の受給は第1号被保険者同様老齢基礎年金となります。

●受給要件

老齢基礎年金を受けるには、20歳~60歳までの40年間のうち、最低25年以上の加入期間が必要です。
この加入期間には保険料を納付した期間に加え、保険料を免除された期間も含まれます。
老齢厚生年金の受給要件は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした上で、厚生年金の加入期間が1ヶ月以上必要です。
遺族・障害年金にも受給資格があります。
障害年金の場合には、一定の障害等級に該当し、20歳から初診日までの間の2/3以上の納付実績があることや滞納がないことが要件となります。
遺族が受け取る遺族年金の場合は、基礎年金は子または子のいる妻が受給対象。
遺族厚生年金は死亡当時に生計維持関係がある妻や子で遺族の年収850万円未満の場合に受け取れます。

気をつけなければならないのは、この25年の加入期間に1ヶ月でも満たない場合、将来の年金給付はゼロになってしまい、現在支払っている年金保険料はまったくの掛け捨てになってしまう点です。

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